9月の22日、ミャンマーで日本から2人の格闘家が、日本を代表してラウェイというミャンマーの国技の試合を行いました。この2人は、藤原あらし選手と、彼の義兄である寒川選手です。
ラウェイというのは、ミャンマー伝統の格闘技で、グローブはつけずに、バンテージを巻きつけるだけ。頭突きあり、肘打ち、首相撲、投げなど何でもありです。非常に危険なものです。試合をするのは、5000人を収容する国立の専用スタジアム。その試合のDVDを先日藤原君のお母さんが届けてくれました。仕事が終わって早速見ました。
観客は、ほぼ満席です。熱気が伝わってきます。1ラウンドからお互いにパンチ、蹴りを出していきます。一発当たれば、それで試合が決まってしまいそうなそんなそんな雰囲気です。
2ラウンド、相手の頭突きで左目から激しい出血をする藤原選手。何度もドクターがチェックします。眼底骨折をしていて、左目は見えなかったようです。かつてあの圧倒的な強さを誇っていたボブサップ。しかし、ミルコクロコップとの試合で、同じようにパンチを受けて眼底骨折します。目から血を流すボブサップは、一気に顔色が変わって、あっけなく負けてしまいました。あの強さはどこに行ったのだろうとテレビを見ていた私も思ってしまいました。
ラウンドが終了して、コーナーに帰る藤原選手。必死で血を止めて、アドバイスを送るセコンド。3ラウンド。しかしここから藤原選手の反撃が始まります。左からのハイキック、ミドルキック。そのあと出てくる相手に右のパンチが当たります。一気に形勢は逆転したようです。
会場は、ちろん母国の選手を応援する人ばかりです。しかし格闘技の試合のいいところ、敵の選手の頑張り、根性そういったものが確かに観客に伝わるのです。次第に藤原選手の蹴り、パンチに対しても大きな歓声が上がるようになりました。首相撲からの投げ、これも藤原選手が得意とするところです。本場のタイの選手にもまったく引けを取りません。この試合でも、ほとんど倒されるところはなく、いつも相手の上に乗っかって倒れていきます。直接聞いたことなんですが、倒れる時には、全体重を相手に懸けるそうです。1度倒されるだけでもかなりのダメージがあるそうです。
5ラウンドを戦い抜きました。3ラウンドからは、完全に藤原君が取ったラウンドです。相手の選手は、国を代表しているその気持ちだけで、ダウンすることなく立っているようでした。結果はドロー。ただ観客は知っています。藤原選手の方に歓声が圧倒的に多かったです。
プロの選手というのは、勝利を収めるだけではありません。やはり、試合を見に行ったお客さんに見に行ってよかったと思わせてこそのプロです。何より、逆境になってからどれだけ頑張れるか。根性、それを見せてもらった試合でした。DVDを見ているうちに見ていることら側が、興奮し、力をもらえる試合でした。まだまだ行けます。しっかり休養をして、次の目標に挑戦して下さい。