「学校では、校歌を歌いなさいと言われても、まったく声を出して歌ったりしないのに、あそこではこんなに大きな声で、胸を張って歌えました。」 向陽が甲子園に行ったときに、応援に行った一般学生の女の子の言葉です。
昨日、和歌山東高校が、創部4年目でベスト4に進出しました。米原監督が、軟式野球部から硬式に変わったこの学校を、まったく用具も何もない1から指導をしてきました。3年生の捕手は、1年生の時から主将です。1年生の時は、2つ年上の兄も、別の学校で主将をしていたので、家に2人のキャプテンがいました。1年生の時から主軸を打った彼が、今は下位打線を打ちます。それだけ、周りのみんなのレベルがアップしたのと、主将としての苦労がそこにあると思います。
智辯和歌山を破った紀北工業との一戦は、高校生らしい、いい試合でした。最後までどちらが勝つかわからない試合。勝利を収めた東高校の応援スタンドが映し出されていました。ベンチに入れなかった控えの部員たちが、全員肩を組んで、身体を揺らせながら、大きな声で校歌を歌っています。一般の生徒たちも、晴れ晴れとした顔で、校歌を大声で歌っています。これがいいんです。学校全体が、1つになれる。野球部の生徒たちは、しっかり応援してもらったのですから、今度は、それを恩返ししないといけません。あんなに応援してやったのに・・・・と言われたくはありません。そういう風にして、学校がさらにいい方向に向かっていくのだと思います。大切なのは、グラウンドでやっている選手は、特別な選手でないこと。普通に入試を受けて入ってきて、みんなと同じように最後まで授業をして、そこから練習する生徒であること。そんな自分たちと同じ仲間を、応援すること。それが、学生スポーツの大切な所だと思います。
学校の校舎の中だけでは教えきれないことを、高校野球が教えてくれます。学校教育の一環としての高校野球が、しばしばやり玉にあがることもありますが、やっぱりいいものです。