今年のセンバツは、とりわけ東北や北海道のチームのはつらつとしたプレーが目につきます。従来は、特にセンバツの場合は、雪国のチームは、気候的なハンディキャップがあったのですが、今はもう全く関係がありません。
昔は、センバツでは、投手が緊張してしまってストライクが入らない、そんな場面がよくありました。かつて東北高校のエースだった、後にジャイアンツでも活躍する中条投手も、確かコントロールに苦しんだような気がします。
しかし今は、甲子園の大会の前から、練習試合ができるようになって、東北のチームも関西に遠征に来たりすることもあります。関西から、東北の学校へ進学する選手も沢山ありますし、関西の人が指導する東北のチームも多くあります。だんだんと地域の差がなくなってきました。
これにはあとひとつ、今のネット社会の影響もあると思います。東北にいても、北海道にいても、どこにいても、いつでもだれかとつながることができます。それによって、情報が、速やかに、どこにでも伝わるのです。「あの強豪高はこんな練習をしている」、こういった情報は、かつては、5年、10年たってやっと知れ渡るようになったのですが、今では、2,3日たてば、違う地域の選手にも伝わって来るわけです。
こういう状況の中で、指導者、つまり「監督」との姿も、ずいぶん昔と違ってきて当たり前ですね。体罰が、完全に許されなくなっています。昔は、本気で野球をやっている学校の部員で、殴られなかった選手はいないんじゃないかと言う時代が確かにありました。しかし今は、言葉で、態度で、選手たちを指導しなければなりません。かつての「監督」と新しい「監督」とのちょうど、過渡期のような気がします。
指導者をさらに伸ばしていくための「教育」を更に、充実させて行かねばならない時代になってきました。選手は、いろいろと教えてもらうことはありますが、指導者は、自分の師匠の真似をしているだけと言った監督も今までは多かったと思います。指導者がどこまで、「勉強」を続けるか、それが大切な時代になってきました。いい指導者がいれば、必ずいいチームができます。いいチームには人が集まってきます。それが大きな力になってくるのです。