英語の問題の中で、誤文訂正問題というのがあります。文法的に間違っている部分を訂正する問題です。センター入試には出題されたことがありません。それは、たとえば、口語表現だと間違っているともいえない場合があるので、どうしても、センター入試には使いにくい問題です。しかし、文法や語法の力を見るのには、最適な問題なので、生徒たちには、必ず解かせるようにしています。
例文が4つ出てきて、誤りを含んだ文章を選べ。とか1文の中で、誤りのあるところを訂正しなさい。というような形式で出題されます。そんな中で、かつて、多分早稲田大学の問題だったと思いますが、誤りがあれが訂正しなさい。ただしない場合は、「なし」と答えよ。というのがありました。「なし」という選択肢を与えられると、同じ問題でも、急に難しくなります。
昨日、久しぶりに友人のF君と会いました。インドで、従業員1万人の会社の社長兼会長として休みなく頑張ってきて、この春から、日本に戻ってきて、会社を再建するのに、獅子奮迅の毎日を送っています。彼が、さっきのこの問題のことを例をあげて語ってくれました。
棋士に、将棋の問題を10問出題します。すると、彼らは、必ず難なく、全ての問題を解くそうです。棋士たちの集中力、思考力は、我々凡人の域をはるかに超えています。しかし、今度は、10問の中に、1問だけ答えが出ない問題を入れるそうです。そうすると、今まで難なく解いていた問題が、限りなく難しくなってしまうそうです。不確定な要素が入ることによって、普段は難なく解ける問題までも、難しくなってしまいます。
反対に、未知の製品を作りだすのに競い合っているライバルの2があったとします。何年も何年も実らない努力を続けています。そしてある時A社が開発に成功しました。すると、少し経てば、B社も開発に成功するそうです。「できる」という確定要素があると、人間は、俄然力を発揮するそうです。
われわれ人間は、不確定な要素に満ちた状況の中で生きています。あとになってみれば何とでも語れるのです。そうです。生徒たちに問題をやらせて、答えを説明すると、「それでいいんか!わかっていたよ。」という人もいますが、それが、わかっていないということなのです。不確定な中で、与えられた状況の中で、どのように生きていくか。その時に、全力をかけて、もがくことができるかどうかそれが大切なことだと思います。