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Channel: KGセミナー塾長の日記
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背番号をもられない3年生へ

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 高校野球の県予選の抽選も決まりました。今はテスト期間中の学校も多いですが、テストが終われば、いよいよ夏の大会の開幕です。新聞には、各学校のベンチ入りメンバーが掲載されています。しかしまだ、実際には背番号が発表されていない学校もあります。

 

 3年生で、最後の大会にベンチ入りできない選手の心は、非常に辛いと思います。それを見ている親も辛い。心の中では、「自分のチームなんて早く負けてしまえ!」と思うのも当然かもしれません。しかし、そこからもう一度気持ちを立て直して、チームのために何ができるのかを考えて、自分の居場所を探すのも高校野球です。そして、その努力をちゃんとわかってやる人こそ、指導者といえるのです。

 

 文武両道クラスの1期生の向陽生が、最後の夏、背番号をもらえませんでした。しかし最後まで、立派に打撃投手を務めていました。夏の大会では、スタンドの最前列で、一生懸命に声援を送っている姿を今も思いだします。

 

 彼は受験でも、苦しみました。目標にしていた学校には、成績が程遠く、滑り止めにしていた学校からも不合格通知が届きます。しかし最後の最後まであきらめることなく、勉強を続け、一番行きたかった立命館大学に合格します。今は、老舗のメーカーで一生懸命に働いています。将来は海外に勤務することを望んでいるようです。

 

 漫才師のかつみさんは、黄金時代の箕島高校野球部員です。当時箕島は、部員の投票でベンチ入りのメンバーを決めていました。発表の時、彼に投票したのは、自分で入れた1票だけ。その日の練習が終わり、みんなが帰った後で、自分が守っていた守備位置に大の字に横たわって、星を見つめながら、箕島高校の校歌を1人で歌ったそうです。星はいつの間にか、涙で滲んで見えなくまりました。

 

 尾藤監督とお会いした時に、この話をしたことがあります。すると、「あの子は、足の速い選手だったんよ。結婚式に呼んでもらった時に、押入れの奥から、昔のあの子が書いた野球ノートを持って行って読んだんよ。野球も最後まで一生懸命頑張ったから、芸能界でも、ちゃんと頑張っていけるんやと思う。」と語っていました。

 

 試合に勝つ、負ける、それだけではなくて、若者の気持ちをちゃんと汲み取って、努力を最後まで見届けてやること。努力を続ければ、きっといいことがある、それを若者に教えてやること。それこそが、指導者だと思います。高校野球が、その後のその人の人生の支えになればと思います。


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