2010年から、大阪の私立高校の授業料の無償化がすすめられました。保護者の年収が、610万円以下なら無料、800万円以下なら、実質10万円という制度です。それが和歌山県の高校の進学状況にどういう影響を及ぼしているのでしょうか。
智辯和歌山と清風南海高校を比べてみようと思います。かつては清風南海中学と智辯和歌山中学は併願の対象にされていて、両方に合格すると智辯和歌山を選ぶ生徒が多かったと聞きます。2009年と、20013年、2014年の大学進学状況を比べてみたいと思います。
2009年
東大 京大 阪大 神戸 関大 近大 桃山
智辯和歌山 306 21 23 24 20 37 20 0
清風南海 295 5 32 36 20 71 53 4
2013年
智辯和歌山 269 6 13 13 10 12 23 7
清風南海 311 2 30 34 23 95 64 4
2014年
智辯和歌山 265 5 14 25 14 35 23 4
清風南海 297 5 47 36 28 80 78 0
智辯和歌山は、昨年の実績より少し今年は回復したようです。しかし、5年前と比べると、明らかに、難関大学の進学実績の減少が見られます。かつては、クラスで真ん中にいれば、大阪大学は確実。模試の志望校で、神戸大学と書くことは、智辯生のプライドを捨てることになるから書かないとか、いろんな話を聞きました。
また桃山学院を受験することは、かつてはありませんでした。和歌山大学を受験する生徒さえほとんどいませんでした。力のない生徒は、学校の指定校推薦の枠で、関関同立に入学させていましたが、去年から桃山学院の合格者を出しているということは、それでは、補いきれなくなってきたのでしょう。
清風南海に合格すれば、授業料は無料ですから、そこをあえて智辯和歌山に進学してくる生徒も少ないと思われます。事実、難関3大学の合格者の数は、
2009年 智辯和歌山 68 清風南海 78
2013年 智辯和歌山 33 清風南海 66
2014年 智辯和歌山 44 清風南海 88
と大きく差をつけられてしまいました。上位に生徒の力は、それほど変わりませんが、できない生徒の数が、かなり増えてきているのが、智辯和歌山に限らず、和歌山の私立高校の実態だと思います。来年は、智辯小学校の生徒が受験の年になります。彼ら力がここに加わって、どう巻き返してくるのでしょうか。あるいは世間でささやかれているように、小学校からの進学組は、できない生徒の割合が多いということになるのでしょうか。
私立の高校は、本当に少子化の中、その存続をかけて経営戦略を立てていかねばなりません。確固たる経営基盤を持っているところはいいですが、少し志願者が減るとそれだけで、学校の士気にも影響が出てきます。有力大学はその系列校となる私立高校に、虎視眈々と狙いを定めています。なかなか厳しい時代になってきました。