夜10時、廊下に置いてあるゴミ箱は、カップめんなどですぐいっぱいになってしまう。それを捨てて、新しくゴミ袋を取り替えてくれるのが、浪人生だ。いつも自主的にやってくれている。今年は特に、那賀高校の生徒がよくやってくれているような気がする。
昨日最後に取り替えてくれたのは、那賀高校野球部の生徒だ。秋の大会は優勝して近畿大会へ。最後の夏は、決勝に進出したが、惜しくも延長戦で敗れ、甲子園の土は踏めなかった。彼は、その試合の最後の打者となった。1塁ベースに頭から滑り込む。両手でベースを掴んだその時、時間が一瞬止まったように感じたかもしれない。
どうしても行きたい大学があって浪人を決意した。アルバイトをしながら、一生懸命にやってきた。力は確実についてきたが、9月の模試は、惨敗。心が折れそうになったと思う。しかしそれでも自分を信じて頑張るしかない。この前に行ったセンター模試では、力を発揮することができた。700点を越えて、目標とする大学が見えてきた。これでやっと、その大学を受験できる生徒になったと言える。その大学は、野球部の先輩が、働きながら浪人生活を送って、合格した大学だ。彼の姿を見て、そのあとに続こうとする後輩が出てくる。これが伝統となる。ここからさらに厳しい戦いが続くが、あと66日、頑張れ。ゴミを捨ててくれているその姿を受験の神様は、ちゃんと見てくれている。