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Channel: KGセミナー塾長の日記
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大学受験改革

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 イギリスのパブリックスクールのハーロー校を見学に行ったことがある。パブリックスクールとは、そのまま訳すれば、「公立校」だが、寄宿舎制の貴族や有力者の子弟が学ぶ私立の学校だ。費用も普通の家庭では当然出せないほどの金額になる。

 

 アメリカからの民主主義に慣れ切ってしまっている我々だが、欧州には、歴然と貴族階級が存在している。しかし、そんな学校では、徹底した貴族になるための教育がおこなわれている。その第一番に掲げられていることが、「勇気」。貴族には、勇気が必要なのだ。事実、第一次、第二次の世界大戦でも、貴族の死亡率が圧倒的に高かったというデータが残っている。危険なを顧みずに、まず最初に突撃するのが、貴族なのだ。また、映画「タイタニック」は、アメリカの映画のために、船が沈む時には、乗客の男性同士で、我先に逃げ出したいとの争いがあったように描かれているが、実際は、女子供を先に助けてやってくれと言って、男性の大半は死んでいったらしい。それが貴族なのだ。

 

 私達が訪問した時も、蝶ネクタイを締めた男の子が、両親に付き添われて見学に来ていた。アフリカのある国の王子だと言っていた。日本の中では、絶対にできないような教育がそこには存在していた。その大学を見学するのに、骨を折ってくれたのが、現文部科学大臣だ。

 

 教育の世界は、絶対的に横並びの社会で、なかなか改革が進まないところだ。いまだに和歌山県のセンター入試の会場のように、誰が見てもおかしい制度を何のためらいもなくやり続けている「業界」なのだ。ただ、彼が大臣になってから、改革の速度がアップしているような気がする。さすがに、我々と同じ、「塾」という民間の出身者だけのことはある。

 

 ただ、点数至上主義をやめて、人物本位の入試でという方向に転換していくのだが、耳当たりは言いが、実際にどうだろう。今日の朝日新聞のあったように、「人物本位は、育ちの良さ次第」になってしまうとの懸念もある。一点にこだわる点数至上主義は、悪の権化のように言われるが、そこには、育ちも、貧富の差も、親の実力も何も関係がない、本人の努力の勝負があるような気がする。そう信じてこの仕事を続けてきた。この改革によって、明治以来続いてきた、本人の努力によって総理大臣にでもなれる国、日本が崩れてしまわないかと心配する。これから先、大学受験は一体どうなるのだろうか。


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